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高齢化社会と事業承継・相続
2017年06月22日

弁護士の小林千春です。
事業承継・相続分野は人類共通の悩みの種と言っていいくらい,
古来から地球規模で紛争の火種となっています。

そんな中,我々の世代では少子高齢化社会という人類がかつて体験したことのない時代に
突入するわけですが,特に,事業承継・相続分野においては,
高齢化問題で悩ましい問題に直面することがあります。

事理弁識能力の低下・喪失に伴って財産の管理・処分をどうするのか,という話です。
例えば,相続人である長男がいわゆる認知症となってしまった場合,
そのままでは遺産分割協議ができません。
認知症となった長男は,事理弁識能力が著しく低下・喪失しているので,
遺産分割協議の内容を理解できないでしょうし,長男を除いた遺産分割協議は無効だからです。

この場合,長男について成年後見人を選任して遺産分割協議を実現することになりますが,
成年後見人は,遺産分割協議のためだけに選任するということはできず,
遺産分割協議終了後も長男の財産の管理状況を家庭裁判所に対して,
定期的に報告せねばならないなど,実社会の生活上,負担が大きいのも事実です。

そこで,被相続人が,予め遺言書を作成し,
その内容として長男の面倒を『誰か』に頼むことと,
この『誰か』への遺産の譲渡をセットにする
「負担付遺贈」あるいは「負担付死因贈与契約」を行えば,
遺産分割協議は不要ですし,長男のその後の生活もこの『誰か』が世話を行うこととなります。

相続人である長男ではなく,
例えばアパートを経営している父親が認知症となった場合も大変です。
アパートを貸すことは法律行為ですし,アパートの管理会社との契約も法律行為です。
災害時の修繕も法律行為,売却も法律行為というように,何でもかんでも法律行為であり,
事理弁識能力がなければ有効な法律行為ができません。

このようなときも,認知症となった後の対策は成年後見人の選任しかありません。
他方,予めの対策としては,父親自身が元気なときに,
『誰か』と任意後見契約を結んでおいて,万一のときは,
この『誰か』に任意後見人として財産の管理を行ってもらうという方法もあります。

また,予めの対策として近時注目されているのは,家族信託の活用です。
例えば,父親が長男にアパートを信託し,長男が受託者としてアパートを管理し,
家賃収入等を父親が受領する,というものです。

この家族信託については頁を改めるとしまして,高齢化社会に伴って,
事理弁識能力が低下・喪失した人の財産の管理・処分をどうするのかという問題は,
今まで以上に増えていくと思います。何事も,予めの対策が肝心です。

執筆:小林 千春

カテゴリ:02-相続について
 
  
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