京都で事業承継・相続でお困りの方はJSコーディネーター協会へお気軽にご相談ください

お問い合わせ
  
    
      

《遺留分制度に関する見直し》
2019年11月1日

 

司法書士の時岡アヤ子です。

《遺留分制度に関する見直し》
今回の相続法改正には、遺留分制度に関する見直しがいくつかあります
(2019年7月1日施行)。

(1)遺留分を算定するためには、財産の価額を確定させる必要がありますが、
   その計算式を新法第1043条及び第1044条が定めます。

 すなわち「相続開始時における被相続人の積極財産の額」と
「第三者に対する生前贈与(原則として1年以内)及び相続人に対する生前贈与
(特別受益としての贈与で原則として10年以内)」を足した総額から、
「相続債務の全額」を差し引きます。

(2)遺留分を侵害された相続人には、
   「遺留分侵害額の支払請求権」が認められるように改めます。

 旧法では、遺贈や贈与を失効させることができる
「遺留分減殺請求権」(旧法第1031条)でしたが、
あくまで遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求する権利という金銭債権に改めます。

 そのため受遺者または受贈者は、遺留分侵害額の支払を請求されると、
必ず金銭で支払う義務があり、その支払に代えて現物給付を選択することはできません。
そこで急に金銭を用意することができない場合などのために、
受遺者または受贈者の請求があれば、裁判所がその負担する債務の全部または
一部の支払につき、相当の期限を許与することができることになります。

 もっとも新法第1047条第3項により、遺留分侵害額の支払を請求されて、
第三者弁済など、遺留分権利者承継債務を消滅させる行為をした受遺者または受贈者には、
遺留分侵害額支払債務を消滅させることができる権利を認めます。
新しい相殺に似た簡易な決済制度として、
受遺者または受贈者が被相続人の事業を承継する場合などには有効と考えられます。

 

(3)遺留分侵害額を算定する計算式を、新法第1046条第2項が定めます。

 すなわち「遺留分の額」から「遺留分権利者が受けた特別受益の価額(10年以内に限らない)
及び遺留分権利者が取得すべき遺産の価額(寄与分による修正なし)」を差し引いた金額と、
「遺留分権利者承継債務の額」を足します。

 なお「遺留分の額」について、新法第1042条が定めるのは旧法と同じ内容であり、
「遺留分を算定するための財産の価額」
「総体的遺留分率」
「遺留分権利者の法定相続分」 を乗じたものです。
その他細かいところでは、受遺者または受贈者の負担額につき、
いくつか旧法下における判例・通説の見解が条文に反映されます。

 

(4)新法第1048条前段によれば、遺留分侵害額請求権の期間制限は1年の消滅時効と
   いう点で旧法と変わらず、ただし金銭債権化されたことから起算点が見直されます。

すなわち「相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時」
から1年間行使しなければ、時効により消滅します。

【参考文献「相続法改正と司法書士実務」
     (東京司法書士会民法改正対策委員会編)日本加除出版株式会社】

執筆:時岡アヤ子

カテゴリ:02-相続について
お問い合わせはこちら
 
  
このページのトップへ戻る